北九州市の洋上風力発電設備を見学
北九州市若松沖で2年ほど前から実証実験中の洋上風力発電設備を見学してきました。
小倉港から船で約50分。響灘の洋上に80mの高さでそびえ立っていました。
洋上風力発電は、陸上の風力発電に比べて強い風力を得られることに加えて、
住民との環境問題とも無縁なため、期待がかかっています。
半面、洋上のため保守や送電にどれぐらいの負荷がかかるか分かりません。
そうした課題の検証をここで行っています。
洋上風力には、風車を構造物で海底に固定する着床式と、水面に浮かせる浮体式の2つがありますが
ここは水深が14mと浅いため、着床式で作られています。
洋上風力の主役は、離れた沖でも低コストで建設できる浮体式と言われており、
日本も特に太平洋側は海底が深いので浮体式への期待が大きいのですが、
水深50m以下なら着床式の方が現実的ということです。
洋上だけあってやはり出力は大きく、近くに陸上の風力発電もあるのですが、
そちらが最大1500kWなのに対し、この洋上風力は2000kW。
通常はだいたい1300kWほど発電できるそうです。
建設費は35億円ということ。
仮にこのコストで商用化されたときにペイするのか、計算してみました。
1300kW×24時間×365日×洋上風力の固定買取価格36円=約4.1億円/年
建設費だけなら35÷4.1=約8.5年でペイする計算になりますが、
これには発電システムの保守費が含まれていません。
それが仮に年あたり建設費の1割とした場合、
年4.1億円の収入ではペイするのに60年かかる計算です。
風力発電の耐用年数は20年ということなので、現実的に元はとれないことになります。
そもそも洋上の厳しい環境で年間保守費が初期費の1割で済むかも微妙です。
やはりカギを握るのは量産効果による低コスト化のようです。