北九州市のコロナ第2波

ニュースなどでご存じの方も多いと思いますが、ここ北九州市では新型コロナウイルス感染症の第2波という現象が見られています。
緊急事態宣言が全国で解除になった直後だったので全国ニュースでも報じられ、お取り引きいただいている方からも「大丈夫?」というメールをいただいたりしました。
お気づかいに本当に感謝しております。

なぜ第2波が北九州市で始まったのかなど、まだ分からない部分は多いのですが、僕は市内の第2波は比較的すぐに収束するのではないかと思っています。

北九州市は1963年に5つの市が合併して発足した市です。
合併から57年が経つのですが、実は今も生活圏は旧5市単位で、市域全体での交流というのは人口100万人近い市にしてはそれほど多くありません。

公共施設は旧5市(現在の区)単位に設けられる一方で、統一的なものがなかったりします。
例えば「門司市民会館」や「戸畑市民会館」などはありますが、「北九州市民会館」というのはありません。
図書館も区単位です。
「北九州市立図書館」という名前はありますが、各区の図書館の総称であり、物理的な図書館ではありません。
JRの駅は旧5市の名前を冠しており、「北九州」という駅はありません。

夏の祭りも旧5市単位です。
旧5市が同じ時期に独自に行うため、日程がバッティングし、調整も行われません。
「わっしょい100万夏祭り」という統一的な祭りはあるのですが、各区の祭りを寄せ集めたものに過ぎず、力が入るのは伝統のある各区の祭りの方です。

合併から57年経っても融合しない原因の一つは、北九州市は旧豊前国と旧筑前国にまたがっていることにあるように思います。
豊前と筑前の“国境”の名残は近代まで残っており、例えば衆議院議員選挙が中選挙区だった時代、北九州市は全国で唯一、1つの市が2つの選挙区にまたがる市でした。
中選挙区が旧豊前国と旧筑前国の枠組みで決められていたためです。

言葉や食文化も旧豊前と旧筑前で違うように思います。
北九州市の名物に「ぬか炊き」があり、小倉(旧豊前)では広く売られていますが、八幡(旧筑前)で育った僕はぬか炊きというものを大人になるまで知りませんでした。
八幡では食卓にもスーパーにも並ばないからです。

そんな統一感のない市なので、コロナを広げる要因となる交流は少なく、それほど大きくは広がらないと思っています。
事実、最初の第1波の時も収束は早く、緊急事態宣言が出る前に日々の感染者は数人に落ち着いてました。
第2波が真っ先に来たと言っても、累計の感染者数は今でも福岡市より少ない状態です。
(1万人当たり感染者数では、福岡市2.37人に対し北九州市1.81人)

一つの市なのに統一感のないということは以前から問題視されていましたが、こと新型コロナウイルスに関しては、かえって功を奏することになるのではないかと思っています。