起業支援に本当に必要なもの

先週のブログで書いた創業支援施設を含め、
「起業支援」のサービスはいろいろ広がっています。

コワーキングスペースやシェアオフィスのほか、
自治体や起業支援の会社が主催する起業支援イベントや相談会、
士業の方々による会社設立支援、金融機関による資金相談などです。

しかしそうしたサービスが、本当に効果を発揮しているのか、
以前から少し疑問に思っています。
起業する人が増えているという実感がないのです。

実際、「中小企業白書」のデータを見ても開業率は伸びていません。
ここ5〜6年で見ると、むしろ低下傾向にあるとさえ言えます。

コロナ禍でリモートワークが一般的になり、副業に対する理解度も広まって、
起業しやすい環境はさらに整っているはずなのに、実際の起業は増えていないのです。

起業支援イベントも花盛りですが、そこに起業の意志を本当に持っている人が
実際どれだけいるのかとなると、怪しいところです。
以前、ある起業支援イベントに参加したことがあるのですが、
その時の参加者の半数以上は金融機関とか士業の方でした。
講演者が参加者の属性を調べるために挙手させたことで判明したのですが、
さすがに講演者の方も引いていたようです。

実際に起業を経験した僕の経験からすると、
起業には今あるような支援ではなく、別の施策が必要ではないかと思っています。
その一つは「起業者が直面するいろんな社会的デメリットの解消」です。

例えば住宅ローン。
私は起業から4年ほど経った頃に家を建てましたが、
複数の銀行から住宅ローンの融資を断られました。
(公庫の融資で何とかなりましたが)
起業者の場合、本人の所得だけでなく
起業した会社の財務状況までが住宅ローンの審査対象になるためです。
その条件は、少なくとも起業から数年は解消しようがないものです。

いまその銀行が、ベンチャー支援みたいな看板をかかげて
コワーキングスペースに毎週相談窓口を置いていますが
それを見ると鼻で笑いたくなります。

その後、別の銀行での借り換えする時でも
金利を上乗せされたりキャンペーンの対象外にされたり。
悪い意味での「特別扱い」されてるのが起業者です。

起業家に対するいろんな支援はなされていますが
こういう偏見が見えないところにあることを考えると、
僕は他人には起業は勧めたくありません。

逆に言うと、こういう偏見を解消することこそが
起業支援に最も必要なことなのではないかと思うのです。